その他
訪問現場で起こりがちなトラブル集②【マッサージ、鍼灸】
今回は、こちら記事「訪問現場で起こりがちなトラブル集【マッサージ、鍼灸】」の続編という形で、現場で起こりやすいトラブル集を見ていきましょう!
中には、「困りごと」程度のトラブルとは言えないものもありますが、実際によく起こる内容もありますので、ぜひ参考にしてくださいませ。
〇訪問時応答なし
これは比較的起こり得ます。物忘れが激しかったり、認知症があったりする方、だという事前情報があれば、ある程度想定はできるのではないでしょうか。
ただ、「忘れていた」では済まない事例もあるので要注意です。私自身の事例ですと、「家の中で尻餅をついて動けなくなってしまい、鍵も開けられない」と助けを求める声がしたため、ご家族と担当ケアマネージャーに緊急で連絡をした、ということがあります。
このように、無応答の場合は常に「最悪のケース」を想定しなければなりません。例えば真夏ですと、熱中症で倒れているかもしれない、というように。
そのため「予定を忘れたのかな」という早計は判断ではなく、可能であれば本人、ケアマネ、そしてどちらも連絡がつかなければご家族(キーパーソン)、というように連絡をとりましょう。
物忘れが激しく毎回忘れて出かけてしまう方であれば、まず電話し、訪問予定に余裕があれば、20分ほどお待ちできると安心ですね。それでも帰ってこないようであれば、再度ご本人様からケアマネに連絡、というように、安全確認は徹底しましょう。
〇勧誘
政治信条が強い方であったり、何らかの宗教活動を行っていらっしゃったりする方の場合、時には強く勧誘されることがあります。一人治療院であり、ご本人様のお話に強く共感できるのであれば、ご一緒するのは自由かもしれませんが、そうでない場合は固辞しましょう。もちろん、強く断ると相手のご気分を害してしまうので、「ごめんなさい、決まりでお受けできないんです」などとやんわり断るのが良いですね。私自身や同僚の経験なども含めると、レアケースと言えるよりは多めの頻度の印象です。
〇お茶、お菓子
家によっては、施術が終わった後、お茶やお菓子を出して下さる家があります。こちらは頂いていけないという決まりはないのですが、スケジュールが埋まってくるとその数分が惜しくなってくるので、難しいところですね。
患家側としては、100%善意でお出ししてくださっていますし、トラブルと言っては失礼なのですが、しかしお断りすると気分を害されてこじれることも少なくありません。
そのため、この事例は断るのが正解、とは言いきれません。最初の数回の訪問で患家の傾向がわかったら、おもてなしの時間が数分あることを念頭に入れて、スケジュールを組むのが良いのではないかと考えます。
ただ、会社の規則で「頂いてはいけない」ということになっているのであれば、その点は真摯にご説明しましょう。
〇金品
お茶菓子ではなく、一部負担金以外のお金(図書カード、商品券を含む)を渡されたり、物品を渡されたりする場合です。
夏の暑い日にペットボトル一本くらいであれば頂いても良いのかもしれませんが、お金に関してはトラブルになりやすいので、受けない方が良いと考えます。特に、前回の記事でも書いたように、認知症で物盗られ妄想がある場合は、渡したことを忘れて「あの人が盗んだ」と周囲に言ってしまうことがよくあります。そのため、一部負担金を集金する以外では、お金には一切手を触れないのが良いのではないかと思います。
〇家庭内不和
これはトラブルとは異なるかもしれませんが、注意すべき内容です。私たち訪問鍼灸マッサージの良い点として、家庭環境をある程度把握することができます。それが実際に患者様のお身体の状態を左右することはとても多いので、必ず把握すべき事柄なのですが、これが時には取り返しのつかない事態を防ぐことにつながります。
実例を挙げますと、最初の1年くらいは穏やかだった主介護者の方が、ある日を境に明らかに様子が不穏になり、施術者がいるにも関わらずご本人に対して声を荒げたり物に当たることが日に日に多くなりました。介護疲れもあって心身ともに限界だったのかと思われますが、「このままでは虐待や暴力に繋がる恐れがある」との判断の元、急遽担当ケアマネージャーに連絡し、最終的に事なきを得た、という事例がありました。
上記は極端な例かもしれませんが、施術者と患者間のトラブルのみならず、患家内のトラブルも少なからず遭遇することはあります。
ケアマネージャーとしても、そういったトラブルを把握し、迅速に連絡してくれる方であれば、大変信頼できると思うので、以降もどんどん紹介をくださるようになると思います。
このように、訪問の現場においては、トラブルは避けて通れないと思います。無い方が良いのは言うまでもありませんが、予め上記のことを知っておき、いざ何か発生したときに、よりよい対応ができると良いですね。
内容によっては、患者様の命を守ることにも直結しますので、じっくりと読んでいただけると嬉しく思います。
今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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●在宅鍼灸師・在宅マッサージ師養成講座を開講します●
中には、「困りごと」程度のトラブルとは言えないものもありますが、実際によく起こる内容もありますので、ぜひ参考にしてくださいませ。
〇訪問時応答なし
これは比較的起こり得ます。物忘れが激しかったり、認知症があったりする方、だという事前情報があれば、ある程度想定はできるのではないでしょうか。
ただ、「忘れていた」では済まない事例もあるので要注意です。私自身の事例ですと、「家の中で尻餅をついて動けなくなってしまい、鍵も開けられない」と助けを求める声がしたため、ご家族と担当ケアマネージャーに緊急で連絡をした、ということがあります。
このように、無応答の場合は常に「最悪のケース」を想定しなければなりません。例えば真夏ですと、熱中症で倒れているかもしれない、というように。
そのため「予定を忘れたのかな」という早計は判断ではなく、可能であれば本人、ケアマネ、そしてどちらも連絡がつかなければご家族(キーパーソン)、というように連絡をとりましょう。
物忘れが激しく毎回忘れて出かけてしまう方であれば、まず電話し、訪問予定に余裕があれば、20分ほどお待ちできると安心ですね。それでも帰ってこないようであれば、再度ご本人様からケアマネに連絡、というように、安全確認は徹底しましょう。
〇勧誘
政治信条が強い方であったり、何らかの宗教活動を行っていらっしゃったりする方の場合、時には強く勧誘されることがあります。一人治療院であり、ご本人様のお話に強く共感できるのであれば、ご一緒するのは自由かもしれませんが、そうでない場合は固辞しましょう。もちろん、強く断ると相手のご気分を害してしまうので、「ごめんなさい、決まりでお受けできないんです」などとやんわり断るのが良いですね。私自身や同僚の経験なども含めると、レアケースと言えるよりは多めの頻度の印象です。
〇お茶、お菓子
家によっては、施術が終わった後、お茶やお菓子を出して下さる家があります。こちらは頂いていけないという決まりはないのですが、スケジュールが埋まってくるとその数分が惜しくなってくるので、難しいところですね。
患家側としては、100%善意でお出ししてくださっていますし、トラブルと言っては失礼なのですが、しかしお断りすると気分を害されてこじれることも少なくありません。
そのため、この事例は断るのが正解、とは言いきれません。最初の数回の訪問で患家の傾向がわかったら、おもてなしの時間が数分あることを念頭に入れて、スケジュールを組むのが良いのではないかと考えます。
ただ、会社の規則で「頂いてはいけない」ということになっているのであれば、その点は真摯にご説明しましょう。
〇金品
お茶菓子ではなく、一部負担金以外のお金(図書カード、商品券を含む)を渡されたり、物品を渡されたりする場合です。
夏の暑い日にペットボトル一本くらいであれば頂いても良いのかもしれませんが、お金に関してはトラブルになりやすいので、受けない方が良いと考えます。特に、前回の記事でも書いたように、認知症で物盗られ妄想がある場合は、渡したことを忘れて「あの人が盗んだ」と周囲に言ってしまうことがよくあります。そのため、一部負担金を集金する以外では、お金には一切手を触れないのが良いのではないかと思います。
〇家庭内不和
これはトラブルとは異なるかもしれませんが、注意すべき内容です。私たち訪問鍼灸マッサージの良い点として、家庭環境をある程度把握することができます。それが実際に患者様のお身体の状態を左右することはとても多いので、必ず把握すべき事柄なのですが、これが時には取り返しのつかない事態を防ぐことにつながります。
実例を挙げますと、最初の1年くらいは穏やかだった主介護者の方が、ある日を境に明らかに様子が不穏になり、施術者がいるにも関わらずご本人に対して声を荒げたり物に当たることが日に日に多くなりました。介護疲れもあって心身ともに限界だったのかと思われますが、「このままでは虐待や暴力に繋がる恐れがある」との判断の元、急遽担当ケアマネージャーに連絡し、最終的に事なきを得た、という事例がありました。
上記は極端な例かもしれませんが、施術者と患者間のトラブルのみならず、患家内のトラブルも少なからず遭遇することはあります。
ケアマネージャーとしても、そういったトラブルを把握し、迅速に連絡してくれる方であれば、大変信頼できると思うので、以降もどんどん紹介をくださるようになると思います。
このように、訪問の現場においては、トラブルは避けて通れないと思います。無い方が良いのは言うまでもありませんが、予め上記のことを知っておき、いざ何か発生したときに、よりよい対応ができると良いですね。
内容によっては、患者様の命を守ることにも直結しますので、じっくりと読んでいただけると嬉しく思います。
今回もここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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著者プロフィール
著者プロフィール
●足森大起(あしもり だいき)
一橋大学卒業後、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得。訪問マッサージの現場にて、個人宅や施設での施術経験を積み、ケアマネ営業や請求業務にも対応。
現在は、制度や現場に精通したサポート担当として、年間100事業所以上の新規開業や受領委任制度の相談に携わるほか、業務支援サービスのユーザーサポート・品質管理にも従事。
保険請求セミナーの講師として制度理解の普及にも取り組んでいる。
趣味は居合い抜刀術で、年に数回滝で修業も積んでいる。
