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訪問鍼灸マッサージに関するノウハウを網羅的に発信します!

受領委任制度

【よくある&レアケース】返戻事由の深堀り【訪問鍼灸マッサージ】

以前、こちらの現場のレセプト返戻~実例集にて実際にあった返戻をいくつか紹介させていただきましたが、今回はその中からいくつかピックアップして、リアルな現場で起こったことを深堀りしていきましょう。
単なるケアレスミスから、深い背景が裏に隠れているものまで色々ありますよ!


①マッサージ同意書の
筋麻痺、筋萎縮、関節拘縮に〇がついていない

本ケースは、受領委任制度が開始された当初ではまだ返戻になりませんでした。ただ、年月が経つに連れ、時折り「マッサージ部位の根拠がない」ということで返戻を見かけるようになりました。
どうやら地域や保険者の担当者によっても対応の差があったようで、私たちの事業所でも、初回の同意の際は通ったのに、同じ内容の再同意の際に弾かれ、困惑したことがあります。
このように対応が統一されていなかった本ケースですが、2024年10月の改定により、レセプトの傷病名欄に「筋麻痺&筋萎縮、関節拘縮」の有無及び部位を、文字で記載することが義務づけられましたこれにより、マッサージの部位との整合性が確認できなければ、返戻は確実になったと考えて間違いないでしょう


②施術報告書交付料の月相違

これはシンプルに思いがちですが、意外な盲点があります。
改めて、施術報告書交付料算定のルールですが、原則として同意書期限の最終月のレセプトに添付可能というものです。例えば以下の同意書と期限を見てみましょう。

a)1/10同意→6/30期限 
b)1/20同意→7/31期限


ケースa)の場合は6月分のレセプトには添付可能ですが、これを5月に間違って交付料を算定すると返戻となります
ケースb)も、7月以外は原則不可ですね。
※変形徒手矯正術を行っている場合は毎月交付料算定可能
ところで、同意書の期限のルールに関して、実はあまり知られていないものがあります。それは

「初回の同意の場合、起算日は同意日ではなく、初療年月日である」

というものです。例えば1/10の初回の同意を取得します。その後、初めて患者訪問を行ったのが1/20であれば、初療年月日は1/20となります
すると先のルールに則り、1/20をカウント開始と見做しますから、すなわち期限は7/31までになるのです!
それを認識せず、6/30までと思い込み、6月に施術報告書交付料を付けたら…?そう、返戻になります。何故なら、最終月は7月だからです
ここはかなり見落としがちなポイントとなります。注意しましょう。


③保険者相違

意外と多い返戻です。よくあるのが、患者本人が月途中に75歳のお誕生日を迎え、以降の施術が後期高齢へと保険者が変更になったパターンです。
他には、途中で引っ越したり、住民票記載地が変更になったりし、別都道府県に送付しなければならなかった、ということもありますね。
この辺りなら、普段からコミュニケーションをとり、変化に注意していれば事前に防ぐこともできると思いますが、かなり気付きにくいケースもあります。
実際にあった例ですが、60代の患者本人がご家族の扶養で、かつ社保に入っていることがありました。これは、ご家族が現役で雇用されて働いているから、社保ということになります。
そして、サービス開始からしばらく経過したあと、知らない間にご家族が仕事を辞めていたのですね
すると、患者本人の保険も社保から国保に変わります扶養者が社保でなくなるからですね。ただ、そのことを把握できなかったので、今までの社保の保険者にレセプトを出し続けることになりました…が、当然、返戻でした。
患者本人とは会話をしていても、ご家族とまで密に、というのはそこまで多くないかもしれませんが、私たちの注意が足らなかったですね…
結局、数ヶ月後に返戻が届き、初めて保険が変わったことを確認しましたが、2~3か月分が纏めて返戻となってしまいました。
かなりレアケースでしっかり意識していないと防ぎ辛いですが、患者本人が扶養かつ社保の場合は注意した方が良いでしょう。


④負担割合相違

比較的多い返戻です。後期高齢に2割枠が創設されたことも影響していると思います。また、患家に前年度に大きな収入があり、1年間だけ3割になる、といったこともあるので要注意です。例えば会話の中で「家を売った」といったお話しが出た際は確認しましょう。
後期高齢の保険が更新される月は、特に注意しましょう。
また、マイナ保険証の場合は特に見落としがちかもしれませんので、画面をしっかり確認してくださいね。


⑤まとめ

返戻も、背景を理解するとかなり奥が深いですね。予防のためには、数字や書類とにらめっこするだけでなく、常日頃から患者本人やご家族とコミュニケーションをとることが重要なのがわかります。そうしないと、思わぬ落とし穴が潜んでいることがありますよ。
今回の実例が予防のためにご参考になれば幸いです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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著者プロフィール
●足森大起(あしもり だいき)
一橋大学卒業後、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取得。訪問マッサージの現場にて、個人宅や施設での施術経験を積み、ケアマネ営業や請求業務にも対応。
現在は、制度や現場に精通したサポート担当として、年間100事業所以上の新規開業や受領委任制度の相談に携わるほか、業務支援サービスのユーザーサポート・品質管理にも従事。
保険請求セミナーの講師として制度理解の普及にも取り組んでいる。
趣味は居合い抜刀術で、年に数回滝で修業も積んでいる。