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訪問鍼灸マッサージに関するノウハウを網羅的に発信します!

学生向け

【2】理解を深めるということ

①はじめに
②ブラウン・セカール症候群
③感覚機能
④運動機能
⑤さいごに


①はじめに

 こんにちは!今回も、勉強の際に理解を深めるコツを掴むため、具体例を見ていければと思います。今回は、生理学の神経分野でかなり難解な項目について触れますので、参考にしてみてくださいね。
 
 
②ブラウン・セカール症候群
 
 一度は聞いたことがある病名だと思います。これは脊髄損傷の一種ですが、何らかの要因で片側だけ損傷した場合に起こる、希少な病態です。
 
 「レアケースじゃないか、(試験対策以外で)覚える意味あるの?」と思われることもあるかもしれませんが、これ、私も実際に施術にて経験したことがあります。まさに教科書通りの症状が出ているので、改めて大事さを実感したものです。
 
 症状としては、損傷部位以下の
 
・患側の運動麻痺、痙性
・患側の深部感覚障害
・健側の温痛覚障害(患側の温痛覚は正常)
 
とかなりややこしく、丸暗記で覚えるのは、恐らく相当困難だと思います。
 
 こういった場合も、神経の伝導路からしっかりと把握しておく必要がありますね。以下、見ていきましょう。
 
 
③感覚機能
 
 感覚機能の症状は、刺激の種類によって、患側と健側で現れ方が反対になっていることがわかります。ここが、覚えるためのネックの一つになっていますね。こういう時こそ、しっかりとメカニズムを理解しましょう
 
 理由として、神経の伝導路は、刺激内容によって左右で交叉するレベルが異なるため、このような症状が起こります

 以下は、左の胸髄を損傷したと仮定して、具体的にみていきましょう。
 
 
1)深部感覚ですが、こちらは後索路を通ります。後索路というのは脊髄のレベルで交叉せず、同側で上昇し、延髄から橋にかけて交叉します
 
 つまり、例えば左脚の深部感覚は、そのまま左半身を通りますが、左の胸髄が損傷しているためブロックされてしまい、それより先に情報が届かなくなってしまいます。これが、「患側の深部感覚障害」を引き起こします。
 
 
2)温痛覚ですが、こちらは脊髄視床路が相当します。この脊髄視床路ですが、これは刺激があったレベルで即、反対側へ交叉します。そのため、左脚に痛みを感じた場合、その段階で情報が右側へ行くことになります。
 
 そしてそのまま右側を上行して脳まで辿り着きますが、右側の胸髄は損傷されておらず正常なため、そのまま情報が届くのです。これが、「患側の温痛覚は正常」の理由です。
 
 では、健側である右脚の痛みはどうでしょうか?これは、即左側へ交叉し、そのまま上行しますが、損傷している左胸髄でブロックされてしまいますね。そのため脳へ情報が届かなくなります。これが、「健側の温痛覚障害」を引き起こします。
 
 この辺りが、一番難しいポイントですが、メカニズムを理解してしまえば、仮に忘れてしまっても後から道筋を辿って思い出せますね。丸暗記だけだと、難しいということはおわかりいただけたかと思います。
 
 
④運動機能
 
 随意運動は脳からの下行する神経で、この場合は皮質脊髄路が該当します。これは、延髄の段階で交叉が起こり、あとはそのまま下行するだけなのですが、左胸髄に損傷があるため、損傷以下の左側はブロックされてしまいます。このため、患側の運動麻痺が起こります。
 
 加えて、一次ニューロン障害が発生しているので、患側には痙性麻痺が生じます。実際にお伺いすると、ふとした瞬間に筋が強烈に縮み、時には強い痛みが生じるのだそうです。
 
 運動の場合は、障害が出るのは原則は同側ですので、比較的覚えやすいかもしれませんね。
 
 
⑤さいごに
 
 学生時代、神経の項目が苦手な人は多かった記憶があります。確かに、丸暗記をしようとすると、これほどややこしい項目もないでしょう。
 
 ただ、一度理解できたら、途端に苦手意識がなくなり、成績があっという間に伸びた人もよく見ました。是非、丸暗記だけではなく、背景も理解するよう頑張ってみてくださいね!