学生向け
理解を深めるということ
①はじめに
②メカニズムの理解
③具体例~バセドウ病
④理解を深める
⑤さいごに
①はじめに
今回は、学生さん向けに勉強のコツについて、私が学生時代に意識していたことを書かせていただきます。
国家試験では覚えることが多く、中々記憶に定着させるのが大変なことも多いですが、定着させるのにもコツがあると思います。ご参考になれば幸いです!
②メカニズムの理解
記憶を定着させるには、ずばり「メカニズムの理解」が重要だと考えます。メカニズムを把握していれば、丸暗記をするより遥かに定着しますし、仮に一瞬忘れてしまっても、メカニズムを一から追っていけば答えに辿りつくこともできます。
丸暗記と違って、再現性がある、という点も大きな強みですね。
メカニズムというのは、Aという原因があり、Bに刺激を与え、さらにそれがCに波及し、Dという結果が出る、という流れですね。ストーリーと言った方が良いかもしれません。以下、例えで事例を示していきましょう。
③具体例~バセドウ病
今回は、バセドウ病について試しに考えてみましょう。生理学や病理学の内容が出てきますので、復習にもお使いくださいね(笑)
バセドウ病ですが、「甲状腺機能の障害」ということはわかっていても、それが亢進なのか衰退なのか、混乱することはないでしょうか?また、亢進と衰退では、現れる症状も真反対になってしまいます。丸暗記をしていて、試験本番でこれが引っくり返ってしまうと、大変ですね。
まず、甲状腺ホルモンに関するメカニズムからのおさらいです。最初は、視床下部から「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)」が分泌されます。それが、下垂体前葉に刺激を与え、下垂体前葉から「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」が放出されます。このTSHが、甲状腺にあるTSH受容体と結びつくことにより、甲状腺ホルモンが放出されます。
甲状腺ホルモンの働きは、新陳代謝の促進、交感神経の惹起、などですね。そして、甲状腺ホルモンの量が多くなりすぎると、特定の刺激を出して、TRHやTSHの分泌を抑制させる信号が送られます。これはネガティブフィードバックと呼ばれ、このようにして体内のホルモン量の調整が自動的に行われるようになっています。
この辺りは、生理学で学ぶ内容だと思います。
④理解を深める
さて、本題のバセドウ病ですが、これは一種の自己免疫疾患とされています。何らかの影響により、自分自身を攻撃する抗体が生まれてしまうのです。
この抗体は、「抗TSH受容体抗体」と呼ばれます。文字通り、甲状腺にあるTSH受容体を刺激してしまいます。本来はTSHが結びつくはずの受容体に病的に刺激が加わることにより、甲状腺ホルモンが過剰に放出されてしまいます。
ネガティブフィードバックによりTSHの分泌は抑えられますが、そもそも今回の刺激の発端はTSHではなく、抗TSH受容体抗体によるものですから、制限をすることができず、過剰に甲状腺ホルモンが分泌され続けてしまいます。このようにして、バセドウ病の症状が現れてしまうのです。
バセドウ病の典型的症状としては
・頻脈
・手足の震え
・眼球突出
・発汗過多
・るい痩
などが挙げられるでしょう。
大事なのは、この症状だけを丸暗記しない、ということです。丸暗記だと忘れやすくなりますし、何かの拍子に忘れた時に、出てこなくなってしまいます。
そうではなく、上記の流れを掴んで、理解して落とし込むことが大切です。流れを掴んで理解をしていれば、丸暗記と比較して圧倒的に記憶が定着しやすくなりますし、仮に忘れてしまっても、最初から流れを追えば、すぐに答えを導きだせるでしょう。
⑤さいごに
今回は、バセドウ病を例に出しましたが、症状の丸暗記ではなく、背景を順を追って理解することで、確実に記憶は定着しやすくなるのではないでしょうか。また、丸暗記よりも、単純に勉強そのものが楽しくなるとも思います!
ストーリーの理解、是非試してみてください!