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訪問鍼灸マッサージに関するノウハウを網羅的に発信します!

施術関係

マッサージとトレーニング

①はじめに
②関節可動域訓練
③筋力トレーニング
④歩行訓練
⑤さいごに


①はじめに

 施術のご依頼の中にはマッサージ以外のニーズがあります。例えば関節可動域訓練筋力回復歩行改善といったものが挙げられますが、これらはマッサージと組み合わせて行うことで相乗効果が期待できます
 
 理由として、筋緊張緩和や関節可動域を拡大することで正しい姿勢が保たれ、運動の効果が最大限引き出されることがあります。どのような形で行えばより効果的なのか、順に見ていきましょう。


②関節可動域訓練
 
 高齢者は、活動量低下により関節が拘縮している方が多くいらっしゃいます関節拘縮とは、関節周囲の筋肉や組織が固まり、関節本来の動きが阻害される状態です。固まった筋肉をマッサージにより緩和させると関節を動かしやすくなり、その状態で関節の他動運動を行うと、可動域や動作時痛の改善効果が大きくなります。
 
 日常生活に活かせる例としては、肩関節の可動域改善で衣服の着脱が容易になります。また、股関節の可動域が改善することで段差の昇降が行えるようになります。他にも、足関節の可動域改善で躓きを予防できます。
 
 関節可動域訓練は、マッサージと併せて他動運動として行えば、変形徒手矯正術の範囲ともなりますので、積極的に取り入れたいところです。

 
③筋力トレーニング 
 
 トレーニングには等張性のものと等尺性のものがありますが、いずれにしても筋肉が固まった状態で行っても効果を最大限に引き出せません。動きが不正確になったりバランスを乱したり、疲れやすくなったりします。
 
 予めマッサージによって柔らかくなっていれば筋は収縮しやすくなり、トレーニングの効果が上がります。
 
 年齢のため、筋力増強や筋力回復を諦めてしまわれる方もいらっしゃいますが、高齢者もトレーニングをすれば筋力がつくことは証明されています
 
筋力増強のメリットとしては、
 
1)姿勢保持能力の維持改善
2)生活習慣病の予防改善
3)サルコペニア、フレイル、ロコモティブシンドロームの予防改善
4)腰痛・膝痛の改善
 
が挙げられます。ニーズに合わせお身体に無理のない程度に筋力トレーニングを行い、より良い状態を目指していきましょう。

 
④歩行訓練
 
 歩行能力向上のニーズがあり、施設などでスペースが確保できる場合は、実際に歩行訓練を実施することがあります
 
 マッサージで身体をほぐすことで背筋が伸び、前傾姿勢が緩和されることで大腿を上げやすくなります。腰部や腹筋の緊張が解れれば、動作時痛も改善します。この歩きやすい状態で訓練を行うことで、歩行速度が上がり、歩幅が大きくなりますので、より効果的を出すことができます
 
 実際に歩行改善のニーズがある患者様のところへ訪問した事例を一つ紹介させていただきますと、この方は歩行器のアームレストに腕を乗せられませんでした。施術で上肢帯や肩部、背部の筋緊張を緩和することにより背筋が伸び、アームレストに腕を乗せることができるようになりました。

 良い姿勢で安定して歩けるようになり、訓練が効果的に行えたことで、患者様も喜んでくださっていました。

 
⑤さいごに
 
 筋肉が固まった状態では、関節可動域訓練も筋力トレーニングも歩行訓練も単独では効果が限定的ですが、マッサージと組み合わせることでより高い効果が得られるようになります

 90歳を超えた方でも寝たきりにならず、杖歩行まで復帰するケースも多く見ています。マッサージ以外の技術も磨き続け、患者様のADL向上に繋がるよう、努めていきましょう。