ケアマネ営業
訪問鍼灸師の営業の基本の考え方
今回のテーマは、訪問鍼灸師が営業をしていくときに、どう考えて行動していけばいいのかについてです。
訪問マッサージの営業活動は、すでに多くの地域で広がってきていますよね。
ケアマネジャーさん側も、「訪問マッサージ」という言葉を聞けば、なんとなくサービスのイメージがつきやすくなっていると思います。
一方で、訪問鍼灸となると、まだまだ認知度に差があります。特に在宅ケアの現場へ新しく入っていこうと考えたときに、「どうやって利用者さんを増やしていけばいいのか」「ケアマネジャーさんに何を伝えればいいのか」で悩む鍼灸師の先生も多いのではないでしょうか。
もくじ
1.訪問鍼灸も、営業の基本は訪問マッサージと同じ
2.ケアマネジャーさんは、訪問鍼灸のイメージを持ちにくい もくじ
1.訪問鍼灸も、営業の基本は訪問マッサージと同じ
3.「説明する」より「体験してもらう」方が伝わりやすい
4.鍼灸は“痛みの相談”と相性が良い
5.ケアマネジャーさんに伝えるべきことは“安全に相談できること”
6.体験してもらえれば、紹介につながる可能性が上がる
7.訪問鍼灸師こそ、自分の特徴を言語化しよう
8.まとめ
1.訪問鍼灸も、営業の基本は訪問マッサージと同じ
まず、営業の基本的な流れは、訪問マッサージと大きく変わらないと思います。
自分の施術所を中心に、半径3km、4kmなどの営業エリアを設定する。もしくは、市区町村単位で対象エリアを決める。そのうえで、そのエリア内にある居宅介護支援事業所をリストアップし、一件一件ご挨拶に回っていく。
そして、ケアマネジャーさんに認知してもらい、ご利用者さんの相談をいただく。無料体験に伺い、ご本人・ご家族にサービスを説明する。その後、契約や同意書の取得を進め、訪問施術につなげていく。
この大きな流れは、訪問鍼灸でも訪問マッサージでも同じです。
ただし、違いが出るのは、最初の営業訪問で「何を伝えるか」です。
2.ケアマネジャーさんは、訪問鍼灸のイメージを持ちにくい

訪問マッサージであれば、ケアマネジャーさんもイメージしやすいと思います。
「肩こりや腰痛がある方にマッサージをする」
「筋肉の緊張をゆるめる」
「関節を動かして身体機能の維持を目指す」
こういった説明は、比較的伝わりやすいです。
でも、訪問鍼灸になると、少し話が変わります。
鍼灸治療を受けたことがないケアマネジャーさんにとっては、
「鍼って痛くないの?」
「お灸って熱くないの?」
「高齢の方に使えるの?」
というようなイメージが先に来ることもあります。
つまり、訪問鍼灸の営業では、いきなり細かい制度や料金の話をする前に、まずは訪問鍼灸とは何をするサービスなのかを分かりやすく伝える必要があります。
そのため「パンフレットやチラシで訴求」、とできればよいのですが、広告の制限も考慮しなくてはいけません。
パンフレットにおいては、基本的な施術所の情報や、提供するサービス、訪問範囲、営業時間や健康保険の取り扱いについてなどにとどめたり、イラストや写真などで効果の保証にならない範囲の温かい雰囲気を表現するのが良いと思います。
● ガイドライン上、安全な営業方法とは
ケアマネジャーに詳しい情報を伝えたい場合は、以下のような「2段階」のアプローチをとるのが安全と思います。
[第1段階]
まずは「訪問鍼灸を行っていること」「対応エリア」「健康保険が使えること(要同意書)」「連絡先」など、広告可能な事項だけをまとめたシンプルなパンフレットをお渡しする。
[第2段階]
ケアマネジャーさんから「具体的にどんなご利用者さんにお願いできるの?」「どんな施術をするの?」と個別の質問(申し出)を受けた際に初めて、詳しい対象症状や施術内容をまとめた詳細な資料(チラシなど)をお渡しする。
このように「個別の問い合わせに対する情報提供」という形をとれば、お渡しする詳細資料は広告とは見なされないため、ガイドラインに違反することなく、ケアマネジャーに訪問鍼灸の魅力をしっかりと伝えることができます。
ただし、いずれにしても表現については十分に注意が必要です。
例えば、実際の保険取扱いは医師の同意書や保険者判断が関わるため、「対象になります」と言い切りすぎず、「対象となる場合があります」「詳細は個別に確認します」という表現にしておくのが安全です。
3.「説明する」より「体験してもらう」方が伝わりやすい

訪問鍼灸の営業で、しょちょーが特に大事だと思うのは、ケアマネジャーさん自身に一度体験してもらうことです。
もちろん、ご利用者さんへの無料体験は行うと思います。ただ、その前段階として、ケアマネジャーさんに鍼灸治療のイメージを持ってもらうことは、戦略上かなり大きいです。
パンフレットを渡して説明するだけでは、鍼灸の良さや身体の変化は伝わりにくいんですよね。実際に受けてみて、「こういう感じなんだ」「思っていたより怖くないんだ」「身体の変化を感じることもあるんだ」と分かると、ケアマネジャーさん自身もご利用者さんに説明しやすくなります。
ちなみに、しょちょーの会社のケアマネジャーにもこの方法について聞いてみたところ、「この提案をされたら、私は時間を取ると思います」と言ってくれました。もちろん、すべての事業所で同じ反応になるとは限りませんが、単なる営業ではなく、サービスを理解してもらうための体験として提案することには、十分に可能性があると感じています。
流れとしては、次のような形です。
①ご挨拶に行く
②ケアマネジャーさん自身に体験を受けていただきたい旨を伝える
③日程調整を行い、短時間の体験を実施する
例えば、ケアマネジャーさん自身に肩こりや腰痛、膝の違和感などがある場合、その場で短時間だけ体験していただく。
もちろん、営業先の状況や相手の都合を見ながらですが、15分から20分程度の時間をいただけるのであれば、鍼灸師としての見立てやアプローチを実際に感じてもらうことができます。
伝え方としては、こんな感じです。
「訪問鍼灸は、慢性疼痛に対して介入することが多いのですが、実際にはまだイメージが持ちにくい部分もあると思います。」
「もしよろしければ、ケアマネジャーさんご自身の肩こりや腰痛、膝痛などで、15分、20分だけお時間をいただき、短時間でお試しいただけませんか。」
「どのような変化が出るのかを、まずは体感していただき、ご説明をするお時間をいただけないでしょうか。」
こういう伝え方であれば、単なる営業というよりも、「サービス理解のための体験」として受け取ってもらいやすくなります。
4.鍼灸は“痛みの相談”と相性が良い
在宅の現場では、ご利用者さんが日常的に痛みを訴えているケースも多いと思います。
・腰が痛い
・膝が痛い
・肩がつらい
・腕が上がりにくい
・首まわりがこる
こうした慢性的な痛みや不快感に対して、鍼灸が選択肢のひとつになることを、ケアマネジャーさんに伝えていくことが大事です。
ただし、「治ります」「必ず良くなります」といった言い方は避けましょう。医療広告や療養費の取扱いを考えても、効果を断定する表現は慎重にした方が安全です。
その代わりに、次のような言い方が自然だと思います。
「痛みやこり、身体のこわばりでお困りの方に対して、鍼灸が選択肢になる場合があります。」
「ご本人の状態を見ながら、刺激量を調整して対応できます。」
「刺す鍼だけでなく、刺さない鍼や、煙の少ないお灸なども含めて、状態に合わせた方法を検討できます。」
このように伝えると、ケアマネジャーさんもご利用者さんをイメージしやすくなります。
訪問鍼灸の営業では、「鍼灸で何ができるか」を、ケアマネジャーさんがご利用者さんを思い浮かべられる言葉に変えて伝えることが大切です。
※なお、ここで挙げた具体的な症状名(腰痛など)や、詳しいアプローチ方法(刺さない鍼など)は、不特定多数に配る営業チラシに書くことは法律(広告ガイドライン)で禁止されています。これらの強みは、直接お会いした際の口頭での説明や、個別に質問を受けた際にお渡しする詳細資料の中で伝えるようにしましょう。
5.ケアマネジャーさんに伝えるべきことは“安全に相談できること”
訪問鍼灸の営業では、技術の説明だけでなく、相談しやすさを伝えることも重要です。
ケアマネジャーさんからすると、「この人に相談して大丈夫か」「制度の流れを分かっているか」「ご本人やご家族にきちんと説明してくれるか」という点は気になります。
そのため、営業の場では、次のようなことを伝えると良いと思います。
・ご相談をいただけたら、なるべく早く、スムーズに対応すること
・無料体験後、速やかにどうだったかをケアマネジャーさんへ報告すること
・健康保険を使う場合には医師の同意書が必要になること
・同意書の取得にあたっては、ご利用者さんやご家族に丸投げするのではなく、施術者側でも依頼状や身体状況の説明資料などを用意し、医師に判断していただきやすい形を整えること
・介入しつつ、何らかの変化を感じた場合には必ず共有すること
このあたりを丁寧に伝えるだけでも、ケアマネジャーさんの安心感はかなり変わると思います。
6.体験してもらえれば、紹介につながる可能性が上がる

訪問鍼灸は、言葉だけで説明するよりも、実際に受けてもらった方が伝わりやすい分野だと思います。
ケアマネジャーさん自身が
「あ、こういう感じなんだ」
「思ったより怖くないんだ」
「身体の変化を感じることもあるんだ」
と分かると、ご利用者さんにも説明しやすくなります。
それに、体験を受けて頂いている時間は、様々な質疑応答ができたり、あらかじめ用意した資料を配布したり、それこそ上記の記事内容で記載してある説明をすることもできます。
そして、今担当しているご利用者さんの中で、痛みやこわばりに悩んでいる方がいれば、
「一度、無料体験で見てもらえますか?」
「この方、いつも腰が痛いと言っているんですけど、対象になりそうですか?」
「鍼灸って、この方にも使えそうですか?」
という相談につながる可能性があります。
営業で大事なのは、いきなり紹介をくださいとお願いすることではありません。
まずは、相手に知ってもらうこと。
次に、体験してもらうこと。
そのうえで、具体的なご利用者さんを一緒に思い浮かべてもらうこと。
この順番が大事だと思います。
7.訪問鍼灸師こそ、自分の特徴を言語化しよう
訪問鍼灸師の先生の中には、マッサージ的な手技や運動療法的なアプローチが得意な方もいると思います。
ただし、資格として提供するサービス、療養費として取り扱うサービスを考えると、「マッサージはあん摩マッサージ指圧師」「はり・きゅうは鍼灸師」という区分はしっかり意識する必要があります。
だからこそ、訪問鍼灸師は、鍼灸師としての特徴を言語化することが大切です。
「痛みに対して、鍼灸という選択肢を提案できる」
「身体の状態に合わせて刺激量を調整できる」
「刺さない鍼や煙の少ないお灸など、在宅でも使いやすい方法を検討できる」
「週1回の訪問でも、身体の状態確認や見守りの一助になる」
このように、自分が何を提供できるのかを、ケアマネジャーさんが分かる言葉に変えて伝えていくことが大事です。
8.まとめ
訪問鍼灸師の営業は、訪問マッサージと同じように、地域の居宅介護支援事業所へご挨拶に回り、認知度を高めていくことが基本になります。
ただし、訪問鍼灸の場合は、まだまだサービスのイメージが伝わりにくい部分があります。
だからこそ、パンフレットで制度や流れを分かりやすく伝えること。そして、可能であればケアマネジャーさん自身に短時間でも体験してもらい、鍼灸がどのようなものなのかを感じてもらうことが大切です。
「営業する」というよりも、まずは知ってもらう。そして、体験してもらう。
そのうえで、痛みやこわばりに困っているご利用者さんを一緒に考えてもらう。
この流れが作れれば、訪問鍼灸師として在宅ケアの現場に入っていくきっかけは、十分に作れると思います。
訪問鍼灸は、まだまだ地域の中で可能性のある分野です。
ぜひ、自分の強みを言語化しながら、地域のケアマネジャーさんに少しずつ伝えていってくださいね。
今日も一歩ずつ、前へ進みましょう!
皆さんの挑戦と活躍を心から願っています^_^
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●しょちょー
訪問鍼灸マッサージ業界で10年以上、現場・マネジメント・経営のすべてを経験。都内の整骨院で訪問部門をゼロから立ち上げ、7年で年商1億円にまで育て上げたのち、2021年に独立開業。
営業・採用・教育・訪問・請求業務などをすべて自ら経験し、現在は7名体制の治療院を運営中。全国のあはき師に向けてセミナーやブログでの情報発信も積極的に行っている。
自身の白血病の闘病経験を通じて「豊かに生きること」の大切さに気づき、現在は【今日こそ独立開業だぞ☆ブログ】を通して、独立や経営に悩む施術者を支援する活動を続けている。
好物はマヨネーズ。三色丼の三色をほぼ一色になるようマヨネーズをかけて食べるのが楽しみ。