その他
レセプトのオンライン申請を考える
①はじめに
②オンラインのメリット
③オンラインのデメリット
④さいごに
①はじめに
訪問鍼灸・マッサージにおいては、現時点では保険請求時の媒体は紙面です。紙面によるメリットやデメリットは様々な見解があると思いますが、今後、オンラインを見据えた動きも出てくると思われます。
社会保障審議会の最新の議事録でも、オンライン化の議論が出ています。ただ、令和6年度から検討の段階に入る、という表現ですので、今すぐ変化するということはなさそうですが、いずれはオンライン申請になることは間違いないと思われます。
②オンラインのメリット
現代日本もキャッシュレス、ペーパーレスが取り立たされ、マイナンバーカードなど公的なものも電子化が進行しています。もっとも、オンライン申請の前に、保険証廃止の問題が先に来るでしょうから、それが完了してからの話にはなるとは思います。そちらはまた別記事で取り上げたいと思います。
話をオンライン申請に戻しますと、この変化には治療院、保険者とも大きなメリットがあるように見受けられます。
まずは、業務の簡易化が挙げられます。治療院側は、印刷する必要がなくなるので、プリンターや紙を揃えなくても良くなります。これは一見地味ですが、無視できないコストダウンに繋がります。
当然、時間短縮にも繋がります。恐らく、レセプト作成においては大半がレセコンを使うか、使っていなくてもExcel等で作成することがほとんどだと思いますので、そのままファイルで送付可能となれば、印刷する時間が省けます。
保険者側も、治療院が多いエリアだと、紙だと月に何万枚とか何十万枚も捌く必要があるのではないでしょうか…考えるだけでも大変ですが、これが電子データになるだけでどれほど楽になるかは、想像に難くありありません。物量がないため、物理的なスペースも不要となります。
また、受領委任制度では、必要書類を最終施術から5年間保存する義務があります。これらを紙で管理するとなると大変ですが、データで可とするなら容易です。このように、オンライン化が進めば、あらゆる業務の手間が遥かに軽減されます。
③オンラインのデメリット
メリットがあるものにはデメリットもあります。オンライン化にも、当然デメリットがあります。
まずは、オンライン化を進めるまでの準備期間が長期になることでしょう。令和6年度に検討段階ということですから、これが実現に至るまでは、早くて令和8年か、遅ければさらに3~5年くらいずれ込むかもしれません…もちろん推測の域は出ません。
特に、オンライン申請ということは、患者様からサインや印鑑をもらわない、ということですから、不正対策をどのように徹底するかの調整が難航することが予想されます。
また、いざ導入となりますと、移行期の混乱が大きくなり、エラーが増えることが容易に想像できます。実際にマイナンバーカードでも紐づけのエラーが生じていることがよくニュースで取り上げられていますが、そのような事故はこちらでも起こりうるでしょう。
移行期が過ぎれば沈静化はするでしょうが、移行期が何年続くかはわかりません。加えて、デジタルリテラシーがないと、業務が不可能となります。PCやスマホ類が苦手な場合、さらにエラーが積み重なることになると思います。もっとも、これは我々も勉強するなどし、制度に対応するしかないところでしょう。
④さいごに
デメリットを見据えて予め対策をしておけば、上記のメリットの比重が大きくなり、業務が圧倒的に簡易化されオンライン化の恩恵を得られることが期待できるでしょう。
3年後は10年後かは不明なものの、ゆくゆくは必ずオンライン化するものと思われます。その前提に立って、私たちは予め何を考えて何を準備しておくか、考える必要があります。
移行期は間違いなく混乱するでしょうから、それに対応できるデジタルリテラシーを身に付けておくことは、決して損ではないと思います。
移行期は間違いなく混乱するでしょうから、それに対応できるデジタルリテラシーを身に付けておくことは、決して損ではないと思います。