開業
訪問鍼灸マッサージ師の開業資金【結論:170〜290万円を目安に準備しよう】
こんにちは!
「今日こそ独立開業だぞ☆ブログ」管理人のしょちょーです。
本日も出張ブログをお届けします^_^
開業を考えている学生さんや、現在勤務中の先生方も、「いつかは自分で独立してやってみたい」と思ったことがあるのではないでしょうか?
でも、いざとなると気になるのが“お金”のこと。特に、開業してすぐに生活できるのか?資金が尽きたらどうしよう?といった不安はつきものですよね。
私自身、個人開業を経て法人化、そして今も事業を運営している立場として、実体験をもとに「開業資金」について分かりやすく解説していきます。
1.「数字」の不安は、必ず「数字」で解決しよう
資金の不安は、感情ではなく“数字”で整理しなければ解決できません。
ここからは「なんとなく不安」から脱却し、経営者としての視点で資金を計画的に考えていきましょう。
開業とは、施術者から経営者になるという大きな一歩。しっかりと準備していきましょう!
2.前提条件を明確にしておこう
今回ご紹介する資金目安は、以下のような方を想定しています。
・保有資格:はり・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師
・世帯人数:自分のみ
・現場経験:2〜3年
・営業経験:ケアマネ挨拶は定期的にしていた
・保険業務:レセコン操作や申請は先輩や事務さんがやっていた
・事業形態:保険取り扱い
・開業種別:自宅を拠点とする
・営業時間:平日9時〜18時
この前提における必要資金はこちらです。
区分 | 金額 |
開業資金 | 約50万円 |
維持費(6〜12ヶ月分) | 約12〜24万円 |
生活防衛資金(6〜12ヶ月分) | 約108〜216万円 |
合計 | 170〜290万円 |
合計170〜290万円の資金が確保されていれば、失敗リスクは低い!
理由を解説していきますね。
3.開業資金の内訳(目安:50万円)
項目 | 金額 |
車両(バイク) | 10万円 |
パソコン | 8万円 |
事務用品 | 1万5千円 |
プリンター | 4万円 |
ユニフォーム | 1万5千円 |
パンフレット | 3万円 |
名刺 | 6千円 |
名刺入れ | 3千円 |
ホームページ作成 | 10万円 |
固定電話 | 1万6千円(初期費用) |
レセコン | 3万5千円(初期費用) |
賠償責任保険 | 1万2千円(1年) |
施術グッズ | 2万円 |
会計ソフト | 2万円(1年) |
合計492,000円です。
(バイク、パソコンをすでにお持ちの方は30万円程度に抑えることも可能です)
おおよそ50万程度の開業資金を用意しておけば、取り急ぎスタートラインへ立てます。
4.維持費の内訳(目安:12〜24万円)
他、主に毎月かかってくるのはガソリン代やレセコン代などです。
・ガソリン代(原付バイク想定):約4,000円/月
・レセコン代:約10,000円/月
・消耗品など:約6,000円/月
→ 合計で約20,000円/月 ✕ 6ヶ月 = 12万円ほどを確保しておきましょう。
5.生活防衛資金の内訳(目安:108〜216万円)
生活防衛資金とは、いわばHP(体力)。
資金が尽きたら、どれだけ志があっても続けることができません。
東京都在住の一人暮らしの場合、月18万円程度の生活費が目安です。
・18万円 ✕ 6ヶ月 = 108万円
・18万円 ✕ 12ヶ月 = 216万円
最低6ヶ月分、できれば12ヶ月分あると安心です。
実際に開業した私の経験でいうと、最低限6ヶ月分の生活費は用意しておかないと超不安になります。
では、なぜ6ヶ月分が必要なのか?
それは、事業収入が発生するまでのタイムラグが関係しています。
6.収入発生までのタイムラグを知ろう
売上の9割は保険請求(2〜3ヶ月後入金)、1割は1ヶ月後入金となるため、実際の資金回収には最大3ヶ月のタイムラグがあります。以下は単純計算での収支シミュレーションです。
月 | 売上 | 支出 | 収支 | 累計残高 |
1月 | 0円 | 68万円 | -68万円 | -68万円 |
2月 | 10万円 | 20万円 | -10万円 | -78万円 |
3月 | 20万円 | 20万円 | 0円 | -78万円 |
4月 | 30万円 | 20万円 | 10万円 | -68万円 |
5月 | 40万円 | 20万円 | 20万円 | -48万円 |
6月 | 50万円 | 20万円 | 30万円 | -18万円 |
7月以降 | 60万円 | 20万円 | 40万円 | 22万円 |
この表を見る限りでは「なんだ、4ヶ月目以降はもう黒字じゃないか」と思うかもしれません。
しかし、僕たちの業務は保険業務なのです。
先にも述べた通り、売上学の9割は入金までには2〜3ヶ月のタイムラグが発生するのです。
仮に2ヶ月遅れで入金されると考えた場合、以下の通りとなります。
月 | 売上 | 支出 | 収支 | 累計残高 |
1月 | 0円 | 68万円 | -68万円 | -68万円 |
2月 | 10万円 | 20万円 | -20万円 | -88万円 |
3月 | 20万円 | 20万円 | -20万円 | -108万円 |
4月 | 30万円 | 20万円 | -10万円 | -118万円 |
5月 | 40万円 | 20万円 | 0円 | -118万円 |
6月 | 50万円 | 20万円 | 10万円 | -108万円 |
7月以降 | 60万円 | 20万円 | 20万円 | -88万円 |
4月の累積残高がマイナス118万円となっています。
維持費で12万円、生活防衛資金で108万円。
なので、合計120万円の資金があればギリギリ資金ショートをせず乗り切れます。
※黒字転換したら、毎月の売上から経費分を引いた額から3割分は絶対に使わずに取っておきましょう。税金支払いで必要になります。売上から生活費を引いて3割、ではなく、売上から経費分を引いて、その金額の3割です。
とはいえ、やろうと思えば生活費を切り詰めたり、夜間にアルバイトをして生活費を賄うことだってできますので、上記はあくまで一例です。
もし余裕があれば、維持費・生活防衛資金は12ヶ月分貯めておきましょう、
それでも初めて開業した直後は不安になるものですが、12ヶ月分あればこの条件においては十分です。
7.家族がいる場合にはどうなるのか?
パートナーと、お子さん一人の3人暮らしだったとします。
その場合には、生活費はもう少しかかると思います。実際に掛かっている生活費を割り出して、その6ヶ月分〜12ヶ月分を用意してみましょう。
守るべき存在がいると、決して失敗は許されない、、、。そんな気持ちになりますから、不安もそれだけ強くなります。
ですが、開業に至るまで準備できることは沢山あります。現職場において圧倒的な成績を出すとか、他人の売上を上げるお手伝いを積極的にするなどして、「どのような行動をとれば売上が上がるのか?」というノウハウをしっかりと身につけることが成功の鍵です^_^。
8.融資は受けるべきか?
一人で運営する個人開業であれば、基本的には融資は不要と考えます。
ただし、将来的に拡大を視野に入れるのであれば、運転資金として確保する意味では活用もアリ。
その際は、地域の制度融資(市区町村の小口融資・信用保証付き制度など)を必ず確認しましょう。利子補助や信用保証料の補助があるケースもあります。
私自身は、拡大を決意してから融資申し込みを行いました。いまでも信用金庫さんとお取り引きを継続しています。
9.最後に
今回は訪問鍼灸マッサージにおいての開業資金について解説をいたしました。
開業するということは、「経営者」になる。ということ。
開業は「治療家」から「経営者」になる第一歩です。
焦らず、しっかりとした準備をして、納得したうえでスタートを切ってください。
これから開業を目指す皆さんを、心から応援しています!
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著者プロフィール
●しょちょー
訪問鍼灸マッサージ業界で10年以上、現場・マネジメント・経営のすべてを経験。都内の整骨院で訪問部門をゼロから立ち上げ、7年で年商1億円にまで育て上げたのち、2021年に独立開業。
営業・採用・教育・訪問・請求業務などをすべて自ら経験し、現在は7名体制の治療院を運営中。全国のあはき師に向けてセミナーやブログでの情報発信も積極的に行っている。
自身の白血病の闘病経験を通じて「豊かに生きること」の大切さに気づき、現在は【今日こそ独立開業だぞ☆ブログ】を通して、独立や経営に悩む施術者を支援する活動を続けている。
好物はマヨネーズ。三色丼の三色をほぼ一色になるようマヨネーズをかけて食べるのが楽しみ。