施術関係
アセスメント~ICFの概念~
①はじめに
②ICFとは
③心身機能・身体構造
④活動
⑤参加
⑥さいごに
①はじめに
皆さまが患者様に介入を開始する際は、まず初めにアセスメントをとることが必要です。ただ、アセスメントといっても何をどのようにすれば良いのか、悩むことが多いのではないでしょうか。
今回は、WHOが定めた国際生活機能分類(以下、ICF)というものを紹介させていただきます。これをもとに分類を行うと大変行いやすいと思いますので、是非参考にしてみてくださいね。
②ICFとは
ICFとは、2001年にWHOが定めた、健康や障害に関する包括的概念です。第1部として「生活機能と障害」第2部として「背景因子」を捉え、その人の現状を総合的に分析し、評価点を付けるものです。
ここでは、私たちに関わりが深い「生活機能と障害」について書かせていただきます。
ちなみに、この辺りは国家試験の範囲内ですので、復習や予習にもお使いくださいね(笑)
③心身機能・身体構造
第1部「生活機能の障害」は以下の三つ、すなわち「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の要素から成り立ちます。私たちが直接アプローチできるのがこの範囲ですね。
心身機能・身体構造は、具体的にはMMTや関節可動域、各テスト法など、身体そのものに関わるものになります。実際にこの辺りは、ICFという概念を知らなくても、アセスメントとして取り入れる場面は多いのではないでしょうか。これら結果に基づき、SOAPのPである施術方針を決定する形ですね。
ただ、ICFという概念を知らないと、この段階で止まりがちになってしまうことも多いのではないでしょうか?在宅で施術を行う場合は、ぜひ、次の二つもインプットして使っていきましょう。
④活動
「活動」は個人の行為が関わるものです。歩行、階段昇降、洗顔、着衣、家事などがありますね。先の心身機能が改善することにより、この活動も可能な範囲が広がります。
例えば、股関節の関節可動域が拡大すれば、階段昇降が可能になったり楽になったりしますし、上肢の関節可動域が拡大すれば、ハンガーに服をかけられるようになります。具体的に行いたい動作、改善したい動作が明確であれば、それに対するアプローチも明確になるのではないでしょうか?
ADL(Activities of Daily Life、日常生活動作)という言葉は聞き覚えもあると思いますが、まさにこれが該当します。アセスメントをとる際は、しっかり頭に入れておきたいところです。
⑤参加
「参加」は生活や人生場面への関わりを指します。特に、社会的に関わりを持つイメージですね。
例えば、買い物に行く場合を考えます。必要な活動は洗顔、整容、着衣、歩行、荷運びなど、場合によっては階段昇降もあります。
私たちと関わりが深い高齢者の方だと、例えばデイサービスやデイケアが該当します。デイサービスは送迎も行ってくれるので、歩行ができなくても行くことはできますが、座位保持や着衣などはやはり一定水準は必要となります。
このように、複数の活動が組み合わさって、参加が可能になります。人間は社会的動物と言われることもありますので、可能であればこの段階までゴールを設定できれば、理想なのではないでしょうか。
⑥さいごに
アセスメントをとる際は、どの地点に目標を定めるかによって、意義が全く異なってきます。心身機能・身体構造のみに注視してしまうと、本来の目的とぶれてしまったり、方向違いの介入なってしまったりするかもしれません。
是非、ICFを意識して、その先の「活動」や「参加」も踏まえて施術をしてみてくださいね!