開業
【撤退するのか】訪問鍼灸マッサージにおける撤退基準の考え方
こんにちは!
「今日こそ独立開業だぞ☆ブログ」管理人のしょちょーです。
本日も出張ブログをお届けします^_^
今回は「撤退」基準を設けてから開業しようという内容です。
1.何故、撤退を考えるのか?
「撤退」と聞くと、どうしてもネガティブな印象を受ける方も多いと思います。
開業前は、
• どんなサービスを提供するか
• 地域の方にどう喜んでもらえるか
• 将来はどんな風に発展させていけるか
といった“前向きな未来”ばかりを想像するものです。
しかし、経営者として事業に向き合う以上、避けて通れないのが「数字の責任」。
どれだけ熱意があっても、資金が尽きれば事業は続けられません。
この撤退基準を考える行為は、直接不安と向き合うフェーズとなるため無意識に避けがちな要素です。だからこそ、撤退基準をあらかじめ明文化しておくことが、安心して挑戦するための大切な備えになるのです^_^
【撤退を検討すべき4つの観点】
① 収益性
例えば、、、
• 赤字が6ヶ月以上続いたとき
• 売上が損益分岐点を下回り続けたとき
• 保険請求の返戻や入金遅延が頻発する場合
療養費制度を利用する事業は入金の安定性がカギですが、入金ベースでの数値基準を持っておくことが大切です。
また、赤字が続くにしても戦略的に赤字が見込まれるケースも存在します。人を増やして一定の期間は赤字になる、という予測数値を作成したうえでの赤字は問題ありません。
② 人的資源
訪問鍼灸マッサージは「人」が「人」に向き合うサービスです。人の能力値によって事業がうまくいくかどうかが決まるといっても過言ではありません。
• スタッフを安定して確保できない
• 教育コストが回収できないほど離職が続く
• 核となる人材が不在になる
こうした状況では、事業継続は難しくなります。逆に、中核人材が確保できていれば粘り強く続けることも可能です。個人事業において、ご自身のみで運営をされていくのであればご自身の能力値が肝となります。
③ 社会的信頼度
• 行政からの指導や請求不備による信頼失墜
• ケアマネや医療関係者との関係性が断絶
• 地域からの信頼が低下
利益が出ていても、信頼を失えば継続はできません。信頼こそ最大の資産です。なかでも不正請求は絶対に駄目です。一時的に売上が増大されているように見せることはできますが、必ず見つかりますし、ご自身の心にもいつまでも暗い影が残り続けます。不正請求に頼らないといけない運営状況ではその時点で難しい局面となっています。
④ 全体の最適解から考える
複数事業を展開している場合は、全体最適を考える必要があります。
他部門が大きく成長していて、そちらにリソースを集中させる方が合理的なときは、撤退も一つの選択肢です。
2.撤退基準を設ける3つのメリット
① 感情に左右されない
独立開業をすると、自分自身の努力や想いが強く入るため、どうしても「まだ続けられるのでは」「あと少し頑張れば」という気持ちが先行しがちです。撤退基準がなければ、赤字を垂れ流したまま続けてしまったり、生活資金を食いつぶしてしまうリスクがあります。事前に「ここまで悪化したら撤退」とルールを決めておけば、冷静な判断ができます。
② 金銭的リスクを管理できる
個人事業であれ法人であれ、運転資金・借入金・生活費のバランスが崩れると立て直しは困難です。
[例]
• 月売上◯万円を◯ヶ月下回ったら撤退
• 運転資金が◯ヶ月分を切ったら撤退
こうした数値基準を持つことで、借金が膨らむ前に軌道修正できます。
③ 次の挑戦につなげられる
撤退は「失敗」ではなく「選択と集中」です。早めに区切りをつければ、別の事業や働き方に切り替える時間と資金が残ります。逆に基準が曖昧だと、再起に必要な資源を失ってしまいます。
3.個人事業と法人での違い
[個人事業の場合]
・生活費との兼ね合いが重要。「生活費+事業経費」がまかなえない状態が続いたら撤退ライン。
・家族の理解も大切なので、家族会議で基準を共有しておくとパートナーの安心材料に。
[法人の場合]
・資本金、借入金の残高を意識し、債務超過に陥らないうちに判断することが重要。
・役員報酬を生活費とリンクさせているケースが多いため、「報酬が◯か月維持できない」ことを撤退基準にすることもあります。
特に個人開業における初期段階では、融資頼みではなく自分で稼ぎ、貯めた資金で挑戦する方が健全と考えています。
ただし、ご自身で営業も、採用も、請求なども全て行ってきたなどの「強くてニューゲーム」のような状態であるならば、融資でスタートダッシュを行うのも選択肢に入ります。
4.撤退基準は“安心して前へ進むためのルール”
訪問鍼灸マッサージは、患者さんに直接触れ、他職種では得られない情報を共有できる“唯一無二のサービス”です。
だからこそ長く続けていくために、撤退基準を設けることが欠かせません。
• 感情ではなく数字で判断する
• 信頼を守り続ける
• 次の挑戦に備える
この3つを意識することで、より健全な経営が実現します。
撤退基準を設けることは不安を大きくするのではなく、挑戦を後押しする安全装置です。
ぜひご自身の事業計画に取り入れてみてくださいね^_^
訪問業界で働く皆さまのご活躍を心から応援しています!
著者プロフィール
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著者プロフィール
●しょちょー
訪問鍼灸マッサージ業界で10年以上、現場・マネジメント・経営のすべてを経験。都内の整骨院で訪問部門をゼロから立ち上げ、7年で年商1億円にまで育て上げたのち、2021年に独立開業。
営業・採用・教育・訪問・請求業務などをすべて自ら経験し、現在は7名体制の治療院を運営中。全国のあはき師に向けてセミナーやブログでの情報発信も積極的に行っている。
自身の白血病の闘病経験を通じて「豊かに生きること」の大切さに気づき、現在は【今日こそ独立開業だぞ☆ブログ】を通して、独立や経営に悩む施術者を支援する活動を続けている。
好物はマヨネーズ。三色丼の三色をほぼ一色になるようマヨネーズをかけて食べるのが楽しみ。
